第 8 章  欲 情



誰にも見られないよう足音が聞こえるたびに道を変え、やっとのことでレゴラスと双子たちは部屋にたどり着きました。扉を開け、部屋の中に入るとエルロヒアが戸にがちゃりとかんぬきをします。沈黙の中、ふと3人の視線が絡み合い、なんとはなしに気まずい雰囲気がただよいました。

エルロヒアは兄の姿を眺めました。兄、エルラダンは美しい顔に笑みを浮かべてレゴラスのほうを見ています。そんな兄の姿をみると、エルロヒアは兄への愛情で胸が一杯になるのを感じました。このもうひとりの自分は、いつでも賢くて魅力に溢れ、理屈ぬきに自分を愛してくれました。エルロヒアにとって、それはいつでも自分を暖かく見守ってくれる、太陽のような存在でした。この片割れのなかには光り輝やくなにかがあって、それをもっと引き寄せて自分の内側に取り込みたい、そして同じくらいに輝き返したい、エルロヒアはいつでもそう思わずにはいられないのでした。自分の魂のなかにある、あの痛みが和らいで闇が晴れるのは、エルラダンと心も体もつながるあの一瞬だけでした。

とはいえ、いったんつながりを感じた後に襲ってくるあの余波が、エルロヒアには耐えられませんでした。押し寄せる孤独と罪悪感。それは本当に寒々とした、恐ろしい感覚でした。

レゴラス。あの罪の意識から逃れて、兄エルラダンとのつながりを感じるには、この美しいエルフの存在が鍵でした。

吊りランプの投げる金色の光でレゴラスの頬は朱に染まり、青い宝石のようなその瞳が興奮に濡れています。レゴラスは今、これ以上ないほど美しく輝いて見えました。エルロヒアの欲情はいやがうえにも高まりました。しかしこのペレジルは、せっかくここまで来た以上、与えられた時間はゆっくりと、有効に使わなくてはとも考えていたのです。官能的な性格をしたこのペレジルは、快感は与えるのも与えられるのも大好きでした。長い年月を経て快感を高める技を究めてきたのです。それでもこんなに深く心魅かれ、喜ばせてあげたいと思うような愛らしいエルフに出会えることは稀でした。

エルロヒアは自分の昂ぶりから湧き上がった音楽が身体中を巡るのを感じました。感覚が鋭敏になり、周囲のものすべてが皮膚に感じられるようです。離れているのにもう、舌でこの王子を味わっているような気さえしてきました。ペレジルは高まる期待に唇を舐めました。

エルラダンは卓子の前に立ち、透明な液体をワイングラスに注ぎました。レゴラスとエルロヒアにもひとつずつグラスを手渡すと、自身の杯を掲げます。「乾杯! 闇の森とイムラドリスの同盟に」

レゴラスも杯を掲げました。「乾杯! 僕たち3人の同盟に」3人がグラスを傾けます。レゴラスは唇に舌を這わせ、嬉しそうに言いました。「ミルヴォールだね、でも僕の知らない味だ。何か別のものが入ってる」

エルロヒアも舌でその甘く濃い液体を転がしました。その味わいから、兄が事前に或る種のハーブをこのミルヴォールにつけこんでいたのがわかります。ふわりと温かく、心地よい感覚が身体を包み込みました。彼の兄は本当に多才でした。エルラダンは感覚を自在に操る術にも長けていたのです。

エルロヒアがレゴラスと目をあわせると、2人の間の空間がぷるりと震えました。まるでそれは3人の間にいつのまにかみえない網が張られ、その糸をぴんと爪弾いたような、そんな感覚でした。王子も同じようにこれを感じているはずです。金髪の王子の表情が淫靡にゆらめくのを見ると、エルロヒアはあの顔が恍惚で歪むまでこの子を鳴かせてやりたい、そう思いました。ダンスを始める時間でした。

エルロヒアはすっとレゴラスに近づきました。「これは兄さんの作った特別の調合だね。緊張を緩める効能があるんだ」エルロヒアはグラスを空けると、レゴラスの飲み干すのを待って、両のグラスを卓上に置きました。

「もう効いてきたみたい」驚いたようにレゴラスが言いました。「すごい! ちょっと酔うような、でも鈍るんじゃなくて、逆に意識が研ぎ澄まされるような ……、不思議な感じがする」

「気に入ってもらえるとうれしいよ」エルラダンも首をかしげてほほ笑みながら、くいとグラスを空けました。

エルロヒアはレゴラスに頬を寄せ、すぅと深く息を吸いこみました。レゴラスからはサンダルウッドの香りがし、王子の熱気と興奮が手にとるようにわかります。エルロヒアが唇を寄せると、王子の唇は敏感に反応し、エルロヒアを喜ばせました。

エルラダンが近づき、レゴラスの腰に腕を回しました。「エルロヒア、ここは少し暑いね」

「そうだね」エルロヒアが答えます。「ちょっと着ているものを減らしたほうがいいかもね」

「そんなことしたら ……」レゴラスがほほ笑みました。「よけいに暑くなるんじゃないのかな」

「でも方向性としては悪くない、だろ? では王子、失礼」エルロヒアは手馴れた様子でレゴラスの上着の紐をほどきはじめました。袖なしの上着を脱がせてしまうと椅子に放り投げます。
「あっは! まるで誕生日プレゼントをひも解いてるみたいだ」

エルロヒアはエルラダンにはちきれんばかりの笑顔を向けました。2人が一緒にレゴラスのチュニックを脱がせ、筋肉のついた滑らかなレゴラスの胸元と薔薇色の乳首を露わにしていくと、エルロヒアはますます待ちきれなくなりました。

「で、今日が誕生日かっていったらそうでもないんだけどね。、まったく君ときたら」エルラダンが手の甲でレゴラスの頬を撫でました。それから肩。そして盛り上がった胸の筋肉へと指を落とすと、最後にそっと乳首のまわりを撫でました。レゴラスのまぶたがひくりと震えます。

「本当にきれいだね」エルロヒアの瞳が舐めるように王子の姿を見て言います。「エルラダン、君は彼を抱く体位をいくつ考えられる?」レゴラスがはっと息を呑んだのがわかって、エルロヒアは思わずほほ笑みました。エルラダンの動きに合わせ、エルロヒアもゆっくりと円を描くように、レゴラスの肌に手を滑らせはじめました。

エルロヒアがレゴラスの胸元にそっと口をつけました。舌を出し、引き締まった肌のうえをゆっくりと這わせてから、今度は肌をついばむように吸いつきます。エルロヒアの舌はやがてレゴラスの乳首をさぐりあて、今度はそこに吸いつきました。丸い蕾がぴんと立ち上がります。レゴラスが、んっとあえぎ、体をびくりと動かしました。エルロヒアが横を見ると、そこではエルラダンがエルロヒアを見ながら、もう片方のレゴラスの乳首を舌で弄んでいます。

「ああ、これじゃ不公平だ」レゴラスが呻きました。「君たち2人ともまだ一枚も脱いでない。僕は ……」

「君は? …… どうしたい?」エルロヒアの舌がレゴラスの胸をつぅと舐め上げます。その眼はじっとレゴラスを見上げています。

「僕は …… 君たちの肌に触れたい」息をひそめ、レゴラスが言いました。

「お望みのままに」エルラダンが言います。「欲しいものを正直に言うエルフにはいつでもご褒美をあげる、そうだろ、エルロ?」

双子たちがゆっくりとレゴラスのそばを離れて、互いに向き合いました。エルロヒアが手を伸ばし、エルラダンの服の止め具を外して肩から落とします。エルラダンは指先で、エルロヒアの服の留めピンを外しました。ベルベットのレギンス以外、服が全部床に落ちると、2人は互いを見つめあいながら、確かめあうように手で体のそこかしこを触ります。2人の美しい豊かな黒髪が背中で波打っています。ランプの投げる光が抜けるように白い2人の肌を金色に照らしだしました。

双子たちがゆっくりと互いの服を脱がせていく様子を見て、レゴラスは熱が出そうになりました。双子たちの仕草からは、あきらかにこうするのが初めてではないことが伺えます。この2人の関係は、自分が思っていたよりもずっと深いもののようでした。この事実をどう受け止めるべきか、レゴラスは戸惑いました。自分の兄とこんな関係になるなんて、そんなことはレゴラスには想像することもできませんでした。

まるで王子の心を読んだかのように、エルロヒアが振り向きました。「…… レゴラス、昨日きみは言ってたね。僕と兄さんはすごく仲がいいって」エルラダンの引き締まった胸筋にエルロヒアは手を下ろし、親指で乳首を撫でました。

エルラダンがため息をつきます。「僕たちは、そう、剣とそれを収める鞘のようなもの。僕たちは何でも …… 分け合うのが好きなんだ」エルラダンはそう言うと、弟のあごを引き寄せて激しく口づけました。互いの背中に2人の腕が回され、密着した腰が淫靡に揺らめきます。

王子の背をぞくりとするものが走りました。

双子の弟が兄から体を離すとレゴラスのほうを向きました。「僕たちのこういう関係、…… きみは受け入れられる?」エルロヒアはそう聞くと、兄の股間を手のひらで包んでみせました。

レゴラスがごくりと息を呑んで、かすかに頭を動かします。

エルロヒアが兄を離れ、レゴラスに横から体を押し付けてきます。「それじゃ答えになってない。王子ちゃん?」エルロヒアが耳元に囁きます。

「僕は …… そういう関係は ・・・・・ 刺激的だと思う」レゴラスは赤くなって消え入るような声で言いました。

「言っただろ? この子なら大丈夫って」エルロヒアがそう言うと、反対側からエルラダンがぴったりとレゴラスに体を押し付けてきました。

王子は耳にエルラダンの舌が触れるのを感じました。「君を信頼してるよ、王子。これは僕たちの秘密。誰にも話しちゃいけない」エルラダンが額をレゴラスのこめかみに押しつけました。王子の頭の中で不思議な単語の羅列が響きました。

「…… うん、約束する」レゴラスはあえぎながら言いました。

「もちろんそうしてくれるね」エルラダンはそう言うと含みのある笑いを浮かべました。レゴラスは、頭がくらくらしてきました。足もとはおぼつかず、部屋の様子が不思議に波打ってみえます。ふと、レゴラスの脳裏に、実はこの双子たちは魔術師で、自分はなにか術をかけられてしまったのでは、という考えが浮かびました。たとえ悦楽のさなかであってもその気になりさえすれば、この2人は自分の息の根を簡単に止めてしまえるのかも、レゴラスはそこまで考えるとぎゅっと瞼を閉じました。

エルロヒアが指を絡めてきます。「さあおいで。僕たちと一緒に横になって」双子の弟は優しくレゴラスの手を引いて、寝台へといざないました。2つの寝台はひとつに寄せられて、ひとつの大きな寝台に作ってありました。掛け布をはぐって、レゴラスを横たえます。エルロヒアは片肘をついて、片足を王子の体に乗せ、ぴったりと腰を沿わせました。

「美しい王子、ぼくに君を愛させて」エルロヒアは王子の耳を唇でなぶりながら囁きました。

レゴラスの背後、エルラダンの重みに寝台がたわみました。双子の兄はレゴラスの髪に触れると、やさしく指で髪をすきはじめました。髪を撫でるエルラダンの指の動きはここちよく、レゴラスはいつしか、うっとりとしてきました。

レゴラスは深呼吸して、エルロヒアの目を見つめました。ペレジルの瞳は深くて暗い淵のようでした。エルロヒアは首を傾け、口を開くと顔を寄せ、レゴラスに唇を合わせました。けれどもその唇は軽く触れただけで、動きを止めました。ペレジルが深く息を吸いこみます。

エルロヒアの動きの意図がわからず、レゴラスはそのまま次の動きを待ちました。エルロヒアの顔が離れます。それからまた近づくと、エルロヒアは舌を出し、ぺろりとレゴラスの唇を舐めました。そうかと思えばまた顔を離します。

「もう、僕で遊ばないでよ」レゴラスはむっとしてエルロヒアに言いました。

「違うよ、試してるんだ。前の恋人とのときは …… 君が下だった、そうでしょ?」エルロヒアが問いました。

「どうしてわかるの?」

「その反応で、ね。わかるよ。僕から動くのを待ってる」エルロヒアは体を寄せてもう一度キスすると、レゴラスを見つめました。「ほら、今のも。ちょっとあごを引くようにしたよね。 でも君は、逆のほうも好きだと思うんだ」

「逆 …… って?」レゴラスがためらいがちに聞き返しました。

「美しい君、君が僕の上になって、奥まで僕に入れるんだ。どう思う?」

レゴラスは身体中が燃えるように熱くなり、これ以上ないほど自身が硬くなるのを感じました。どうしてわかるんだ? この魔術師! レゴラスは両腕でエルロヒアを抱き寄せました。
「そういえば戦いのとき約束したね。君が僕に降参する、って」

「そうだった、約束したね」エルロヒアが笑いました。

「そんな約束をしてたのかい、エルロヒア」エルラダンが王子の背中をなでながら言いました。それからこう王子の耳元で囁きました。
「残念ながらレゴラス、僕のほうはそんな約束してないよ。僕は上のほうが好きだからね」

「でも僕の体はひとつしかないんだけど」レゴラスはどうしたらいいのかわからないといった様子でたずねます。

「そうだね。だけど」エルロヒアの目が狼のようにきらっと光りました。「ひとり増えると面白いことができるんだ。君は …… 僕たち2人を同時に感じたくない?」

エルラダンの手がレゴラスの後ろからレギンスのなかに入り込み、指で双丘を割り広げるようにそっと触ってきました。「あぁ、ヴァラよ!」レゴラスはため息をつきました。

「僕は激しくされるのが好きなんだ」エルロヒアが囁きます。「今夜は上と下、両方から僕たちを感じて」

答える代わりにレゴラスはエルロヒアをぐっと引き寄せ、激しく口づけました。今度はエルロヒアもされるがまま、王子の口づけを迎えると、口を開いて舌を差し入れました。レゴラスは熱に浮かされたようにエルロヒアを押し倒し、2人はしばし舌で激しく互いを求めあいました。エルラダンの柔らかい唇が同時にレゴラスの背骨に沿って下に降りていきました。

力強く咥内を蹂躙してくる王子の舌を、エルロヒアはほほ笑ましく味わいました。レゴラスが少しずつ攻める方の役割に慣れ、自信を深めていく様子に、自然と笑みがこぼれます。才能あるよ、年下の君。この子に色々教えてあげたら楽しいだろうな。エルロヒアはそう思いました。エルロヒアはふと唇を離すと、レゴラスにこう告げました。「逆もありだよ、そうすれば公平だからね」

「もうエルロンドの息子たちには降参だよ」そう言いながらもレゴラスはうれしそうでした。「好きなようにして。もう僕は君たち2人のものだ」

「ああ、やっと降参した?」エルラダンが笑いました。

エルロヒアも笑って言いました。「僕たちは全員で勝利の美酒を味わうんだ」

「さあ、まず何をして欲しい?」レゴラスの耳元でエルラダンがささやきます。エルラダンは王子にぴったりと体をつけ、自分の下半身を揺するようにこすりつけました。

「言っておくれ、森エルフ」エルロヒアも言いました。

「…… 口で、して欲しい」そう囁くとレゴラスは頬を染め、エルラダンに向き直りました。
「君たち両方、一緒に」

「欲張りだなあ、この子は」エルラダンが笑顔で言いました。

「欲張りな子は大好きだ」エルロヒアが言います。「レゴラス、そっちに座って」

エルラダンが身を起こして寝台の端にまくらを重ねると、レゴラスはそこに背を預けるように座りました。エルラダンは特製ミルヴォールをもう一杯グラスに注ぐと、自分で一口飲んでからレゴラスに手渡します。「全部飲んじゃだめだよ、あとで使うからね」エルラダンが唇を舐めながら言いました。

そうしている間にエルロヒアがレゴラスのレギンスに手をかけ脱がせはじめました。腰からレギンスをひっぱり降ろすと、一気に脱がせて床にほうり投げます。堅くなったレゴラスのものが飛び出しました。

「ああ」露わになった長くて白い王子の棹に、エルロヒアはそっと指を這わすと軽く握りこんで上下に手を動かしました。「王子、君は素敵だ。どこもかしこもね。ラダン、君もそう思わないかい?」

「ああまったくだ」

「2人とも脱いで」レゴラスが言いました。「僕だけ裸なんておかしいからね」

「攻めの役割が分かってきたみたいだな」艶のある声でエルラダンが言いました。

双子の兄は寝台の横、エルロヒアの隣に立ちました。2人が互いのレギンスに手を伸ばすと、紐がほどかれレギンスはばさりと床に落ちました。堅くそそりたつ2人の屹立が露わになると、レゴラスの目がそこに吸い寄せられました。レゴラスは手にしたグラスからもう一度ごくりと飲みました。ミルヴォールは熱く喉を潤し流れていきます。この後どうなるのか、レゴラスには予想もつきませんでした。次々と訪れる興奮にただただ、身を任せるよりほかないのです。熱く脈打つ自身の昂ぶりに、ひやりと心地よい雨の日の湿った空気。ミルヴォールの甘い味。裸のペレジルたちが腰を寄せ合うと、盛り上がった曲線が柔らかそうに動きました。

エルラダンがレゴラスの横、寝台の端に腰かけました。エルラダンはレゴラスの目を見ながら、ひじをつき、ゆっくり寝台に体を倒していきます。エルラダンは横になると、濃い毛で根元を囲まれた自らの男根をレゴラスに見せ付けるようにして、腰を浮かしました。エルロヒアがひざをつき、兄の棹を口内に取り込みます。エルロヒアの頭が上下に動きだすと、レゴラスは息を呑みました。エルラダンが頭をのけぞらせ、胸の奥からうめき声を洩らします。エルロヒアは兄の腰に手をかけて、まるで堅い棒飴を食べるかのようにエルラダンのそれにむしゃぶりつきました。

レゴラスはまだ自分が触れられた訳でもないのに、もう達してしまいそうでした。無意識のうちにレゴラスは下に手を伸ばし、先端の潤いを親指で塗り広げるように自身を軽くしごきました。

エルロヒアが兄から顔を離し、レゴラスと目を合わせました。その手はまだエルラダンの雄を握ったまま、手首を返すように上下にしごき続けています。「僕の王子、君もこうしてほしいのかな?」エルロヒアは甘えた猫のようにそう言うと、兄の男根に口付けました。エルラダンがぶるりと震えます。

「…… うん」

レゴラスがそう言うと、薄暗い部屋の明かりに双子たちの瞳がきらめきました。エルラダンがレゴラスの横に滑りこみ、エルロヒアも同時に反対側から体をひたとくっつけます。エルラダンがレゴラスの持つミルヴォールのグラスを取ると、グラスを傾け、中身をそっと王子の肌にたらしました。ミルヴォールはレゴラスの臍の窪みで小さな水たまりを作ると、腹筋に沿っていくつもの筋を作りながら流れていきました。一瞬だけひやりとするミルヴォールの感触は、熱い肌の上、すぐに温められていきました。

エルロヒアが顔を近づけ、臍のまわりからぺろりとミルヴォールを舐めとりました。エルロヒアの舌先が触れると王子の腹筋がひくりと震えます。エルロヒアは足の付け根に向かってゆっくりと唇を滑らせ、やがてレゴラスの昂ぶりに達すると、舌で根元から先端までをゆっくり一度だけ、舐めあげました。エルロヒアが顔を離すと、今度は反対側からエルラダンが舌を近づけました。エルラダンも弟と寸分たがわぬ動きでレゴラスの肌のミルヴォールを舐めとります。2人の舌は交代で、すこしずつ動きを速めながら、ミルヴォールがすっかりなくなってしまうまで、存分にレゴラスの肌を舐めまわしました。エルロヒアが手のひらで王子の袋をそっと包むと、両方の舌が同時にレゴラスの棹の付け根に押しあてられます。2つの舌は一緒になって棹の周囲を舐めまわし、互いに舌先を触れさせながら、ゆっくりと先端へ昇っていきました。エルロヒアの手は王子の棹を握り、上下にやわく動いています。王子の先端のすぐ上で2人は口づけたあと、一緒に舌でレゴラスの先端をなぶりだしました。

レゴラスが後ろに手を伸ばしてぎゅっと枕をつかみ、身もだえしながら2人に懇願しました。

「ああ------、もうだめ! お願い、いかせて!」

「聞いた? エルロヒア」エルラダンがにやりとします。「いかせてあげて。見てるから」

エルロヒアがきゅっと口の端を上げ、小悪魔的な笑顔になりました。エルロヒアが顔を寄せてレゴラスの熱く堅くなったものをやさしく咥内に取り込むと、咥えた口をゆっくりと上下させました。王子のものを根元まですっかり口に含んでしまうと、エルロヒアは巧みに唇と舌を使いはじめました。レゴラスはおかしくなってしまいそうでした。

性急に腰を揺らすレゴラスの喉から絶え間なくあえぎ声が洩れました。絹糸のようなペレジルの髪が内股をにさらさらと撫でています。髪の触れるくすぐったいようなその刺激と、ペレジルの温かい唇の感覚が相まって、レゴラスはまるで魔法にかけられたように気が遠くなりました。かといって達することも叶いませんでした。エルロヒアはわざとレゴラスの求めるペースにすこし足りない速さで口淫を続けていました。

「あっ、もっと! 早くして!」レゴラスが叫んでペレジルの柔らかい髪に指を絡ませました。

レゴラスの求めるリズムにやっとエルロヒアがペースを速めました。ふと見やればエルラダンは美しい瞳を淫らに曇らせ、エルロヒアの動きに合わせて自分のものをしごいています。

圧倒的な快感がレゴラスを飲み込みました。レゴラスは頭をのけぞらせて悲鳴のような叫び声を上げると、エルロヒアの口の中へと自身をほとばしらせました。レゴラスの先端から白濁が吐き出された瞬間、エルロヒアは顔を離して、飛び散るねっとりとした液体を舌先に受けとめました。しごく手はそのままで、残りの白濁はレゴラスの腹の上へと飛び散らせます。エルラダンが顔を寄せ、レゴラスの肌に落ちた白濁をぺろりと舐めとりました。エルラダンは顔を上げるとエルロヒアに口づけます。エルロヒアが小さくあえいで舌を出すと、エルラダンの舌先はそこに絡みつきました。

「…… んっ、美味しいよ、レゴラス」エルラダンが言いました。

2人はまだ代わる代わる、くったりとなったレゴラスの男根を舐め続けています。あまりの快感でレゴラスはもう死にそうでした。ああ神様! この夜が永遠に続いたらいいのに! レゴラスはそう思いました。

双子たちは体を前に動かすと、腕を一本ずつレゴラスの胸に投げかけました。2人の体にすっぽりと挟まれたレゴラスはうれしそうに体をもぞもぞさせました。

「今の、すごく良かった」王子が言いました。

「今の聞いた? 王子はあれで満足みたいだよ」エルロヒアが笑います。

「ああ美しい王子、まだ始めたばっかりじゃないか」エルラダンが手でレゴラスの頬をさすりながら言いました。

「そう、これはほんの序曲で」エルロヒアの長い睫の奥、瞳が淫らに光りました。「メインコースはまだこれから。それに、わかるよね? 僕たちのこれも、診てもらわなくっちゃ」レゴラスの身体にエルロヒアが堅いものを押しつけました。

「手当はどうやってしてあげればいい?」

そうたずねるレゴラスに、双子たちは互いに顔を見合わせ、くすくすと笑いました。

「治療法はいくつか思い浮かぶんだけど」エルラダンが言いました。「どれも魅力的で決めがたいな。幸い、夜明けまではまだ時間があるんだ。一緒にゆっくり考えよう」






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