第 11 章  懐 柔




エルラダンは目の前の光景を見守りました。弟は王を誘うようにソファの上で艶かしく体を横たえています。スランドュイル王といえば、胸元の金鎖に指を絡めその前に立ち尽くしています。王は己の欲望と僕たちへの不信を天秤にかけ迷っている ……、エルラダンには王の逡巡が手に取るようにわかりました。

「言え、ペレジル。なぜこのようなことをする」スランドュイルが訊ねます。

「なぜって、我が王よ、あなたは美しく、そしてとんでもなく力強い、まるでアノールの金の光のようだから」あの魅惑の笑みを浮かべながらエルロヒアが答えます。

「ふん、口先ばかりの双子どもめ。信じられんな」スランドュイルは手で払いのけるような仕草を取りました。

「ああ親愛なる我が王よ」エルラダンが笑います。「実のところ、さっきも貴方に邪魔されるまで僕たちはその、途中だったのですよ。おかげでまだ …… 足りていない」長い睫の下からエルラダンがスランドュイルを見上げました。「それにあなたは美しい。実に魅力的だ、それは嘘じゃない」

卓にもたれたエルラダンは表情を和らげ、笑みを浮かべました。エルロヒアと目が合うと、弟は楽しそうに口の端を上げました。エルロヒアは指を2本、唇に当て、それからその指をゆっくり体の下のほうに持っていき、股間のふくらみをなでさすってみせました。

ああエルロヒア! 君ってやつは! エルラダンは胸が熱くなりました。これで王も望む方に動くだろう。

スランドュイルは目を見開きました。「呪われろ」スランドュイルがうなります。「最初に見たときから欲しかった。いまそなたらは見返りもなしに私に体を開くという。…… 後悔してもしらんぞ。私は優しくしてやろうなどとはこれっぽっちも思っていないのだからな!」

「僕は激しくされるのが好きなんだ」エルロヒアが言いました。「そうだろ、兄弟?」エルロヒアが腰を振りました。

エルロヒアを見つめる王の眼に、一瞬、剥き出しの欲望が露わになりました。部屋の向こうへと歩いていくと扉のかんぬきを下ろします。2人に向かって歩きながら、王が上着を脱ぎ捨て、それからチュニックを頭から引き抜くと、見事に均整のとれたスランドュイルの上半身が現れました。近づいてくる王を見て、エルラダンの胸に期待と、畏敬の念のようなものが渦巻きました。この王はまるで嵐でした。一挙一動が激しく、力溢れています。王のこの圧倒的な力にエルラダンの体も反応し下半身が熱くなりました。

双子の兄の側に来たスランドュイルは、いきなりエルラダンの顔を両手でつかみました。口づけると、歯と舌で激しくエルラダンの咥内を陵辱します。王の口づけはシナモンと血の味でした。息もつけぬままエルラダンがくぐもった呻き声を上げると、スランドュイルはエルラダンの髪に痛いほど指を絡め、全身を押し付けて、服越しに股間をすりつけます。エルラダンの後ろ、大腿のところにテーブルの端が食い込みました。王がやっと唇を離したときには、エルラダンの息は荒く昂ぶっていて、赤く染まった自分の唇をエルラダンはそっと指で押さえました。

「ペレジルよ、こういうのがいいのか? 血が騒いだか?」スランドュイルがにやりとします。「さあ見てみよう」王がナイフを取り出します。

「ちょっと待って、スランドュイル。兄の体に傷をつけたら許さないよ」エルロヒアがソファから身を乗り出して王に警告します。

そんなエルロヒアに王は薄笑いで返しました。「傷つける訳ではない。エルロヒア。だが着ているものが多すぎる、そうだろう?」

スランドュイルは素早いナイフ捌きでエルラダンのベストの紐をぷつりと切ると、その胸元をくつろげます。そして次にチュニック。鋭いナイフの切っ先がレギンスに降り、止め紐をたぐって切りはじめると、エルラダンは心細げに王の手元を見守りました。スランドュイルがナイフを置き、エルラダンのレギンスをひざまで降ろし、残った布を脚からはぎとります。王は立ち上がって作業の成果を満足げに眺めました。

スランドュイルの厳しい青い眼が自分を見下ろしているのを感じると、エルラダンは我知らず頬が熱くなりました。手で自身を覆ってしまいたい、そんな気持ちを抑え、エルラダンは体重を後ろにかけて言いました。「お目に入ったものは、王のご期待に添いましたか?」

「ああ悪くない」しゃがれたような声でスランドュイルが言います。突然王が双子にのしかかりました。エルラダンの滑らかな喉元に歯を落とすと、胸元まで点々と赤い印をつけながら噛むように、王の口が降りていきます。舌が敏感な乳首に触れたかと思うと、スランドュイルはその紅い突起をきつく噛みました。エルラダンが痛みで声を上げました。

「美味だな、ペレジル」スランドュイルが言います。「全部このように美味なのか?」そう言うと王はひざをつき、手に取ったエルラダンの男根を音を立てながら、下から上までなぞるように舐め始めました。エルラダンは両ひじで体を支え、後ろにのけぞりました。王が手を上下に動かすと、次第にエルラダンの先端から液体がにじみました。王が顔を近づけ、舌で円を描くようにしてその先端を舐めました。

「うむ」スランドュイルがつぶやきます。「素晴らしい」

エルラダンの呼吸が早まりました。エルラダンのものが王の濡れた咥内に根元まで納まると、その棹はこれ以上ないほど硬く張り詰めました。黄金の頭は素早く手馴れた様子で上下に動き、速いペースでエルラダンを絶頂に導きます。

「あ!」腰を前に突き出しエルラダンが叫びます。王の口淫でこんなに自分が感じてしまうとは思ってもみなかったので、エルラダンはなんとも恥ずかしいような気がしてなりませんでした。スランドュイルは両手でエルラダンの尻を押さえ、飲み込むような勢いでエルラダンのものを咥えています。スランドュイルの歯が時折痛みとぎりぎりの感覚で棹に当てられ、エルラダンの体はぶるりと震えました。スランドュイルの片手が乱暴に袋をもみしだきます。ああ神様!すごくいい!

意識の隅のほうではエルロヒアが、まるでミルクを舐める猫のように兄の感覚をぴちゃぴちゃと味わっていました。

「なかなか素敵な光景だ、殿」エルロヒアが言いました。

突然スランドュイルの口がエルラダンのものを離れると、エルラダンは落胆する気持ちを抑えられませんでした。スランドュイルはソファに座ったエルロヒアのほうを向き、レギンス越しに自身の昂ぶりをなでさすりながら、その激しい瞳でエルロヒアを一瞥しました。

「お前は自分の兄のものを他人が口に入れるのを見るのが好きなのか?」スランドュイルは低い声でうなるように言うと、ゆっくり立ち上がりました。「お前の口もなかなか愛らしい。私もそれを感じてみたい。服を脱げ。ゆっくりとだ」

「お望みのままに、王よ」エルロヒアが答えます。立ち上がるとエルロヒアはゆっくりとベストとチュニックを頭から引き抜き、それからブーツを脱ぎました。そして最後にレギンスに手をかけ、扇情的に腰を揺らめかせながら少しずつ、レギンスを降ろしていきました。

スランドュイルの舌がぺろりと唇を舐めました。王がエルロヒアを見つめます。「まったく同じ、うりふたつだな」スランドュイルが息をつきます。「想像していたとおり、美しい。ここに来い」

双子の弟が王の手の届く距離にやってくると、スランドュイルは無言でエルロヒアの肩を押し、自分の前にひざまづかせました。王の股間がふいにエルロヒアの顔の目の前にあらわれます。

「取り出せ」スランドュイルが命令します。

エルラダンの見守る中、弟はスランドュイルの胸元の肌に軽く手で触れてから、レギンスの紐を解きはじめました。血を集めて太く屹立した男根を取り出します。エルロヒアは小さくあぁと感嘆の声をあげると、上下に一度、しごきました。

「吸うんだ、エルロヒア」

淫らな笑みを浮かべたエルロヒアが上目遣いで王を見上げました。口を大きく開け王の大きな一物を口に含むと、エルロヒアの頭が前後に動きだしました。スランドュイルが身を震わせ、体重を支えようと机に手をつくまでそれほど時間はかかりませんでした。濡れて光った王の男根が、弟の唇から出たり入ったりしています。エルラダンにとってそれは信じられないほどエロティックな光景でした。エルラダンから小さな喘ぎ声が漏れました。

スランドュイルがさっと振り向き、親指でエルラダンの喉元をつっとなぞりあげました。「心配するな、この性悪。お前にもすぐ味わわせてやる」スランドュイルがまたぶるっと震えました。「ああエルロヒア、その舌使い、悪くないぞ」

スランドュイルの手がエルロヒアの頭の後ろを押さえつけ、自身を奥深くまで突き入れました。エルロヒアが窒息するような声を上げても躊躇なく、喉奥まで何度も繰り返し突き入れます。スランドュイルが引き抜くと、エルロヒアはぜいぜいと息をつきながら、喉を押さえて床に手を着きました。

弟を気遣う間もなく、卓の上でエルラダンは腰を返され、すばやくうつぶせに押し倒されました。スランドュイルの手が探るようにエルラダンの尻に触れ、双丘を押し広げます。エルラダンは次の衝撃を予想して身を構え、体をリラックスさせようと試みました。

「これはなかなか楽しめそうだ」スランドュイルが言います。「エルロヒア。こいつが痛がるのを見たいか。そうでなければあの棚から軟膏の壷を取ってこい」

エルロヒアの足音が聞こえ、棚の戸がきぃと音を立てました。それからまた足音、そして壷の蓋を開ける金属音。

「エルロヒア、まずお前が濡らしてやるといい。舌を使え」王が命令します。

弟の手がエルラダンの双丘を割り、濡れた舌が敏感な部分にぴちゃりと当たったのを感じて、エルラダンは身を震わせました。穴の入り口でその舌が探るように動くと、むず痒いような感覚に襲われます。エルロに自分がこうされるのはめったにないことでした。呼吸が早まり、自身の張り詰めたペニスが卓の表面に押し付けられ、血が騒ぎます。やがてエルラダンは低いうめき声を漏らしました。

「もう十分だ」スランドュイルが言うのが聞こえます。エルラダンの窪みにひやりとした軟膏が塗りつけられました。それから乱暴に王の指が一本突き入れられ、エルラダンにずきりとする痛みを与えます。次の瞬間エルラダンは太い王の男根で広げられ乱暴に貫かれました。このような侵入に慣れていないエルラダンはがまんできないひりつきを穴に感じます。

「あ、ああっ!」エルラダンが叫びます。「ああ神よ!スランドュイル、あなたのは、大きすぎる!」

「もちろんだ、ペレジル。あぁ、お前はきついな」スランドュイルが呻きます。「狭すぎるくらいだ」スランドュイルは両手でエルラダンの腰に体重をかけ、早く激しい突き上げで自身を根元まで押し込みました。力溢れるその突き上げに、エルラダンは体が2つに割れるかと思いました。エルラダンは歯をぎりぎりと噛み締め、必死で声を抑えました。

「こうされるのが好きか?」スランドュイルが聞いています。「それとも弟にこうされるほうが好きなのか?」

エルラダンはただ首を振るだけでした。スランドュイルがエルラダンの内奥に何度も激しく突き入れて、エルラダンの痛みは次第に快感へと変わり始めました。スランドュイルは絶頂が近いのを感じると、いきなり自身を引き抜きます。卓の上、取り残されたエルラダンは荒い息をつきました。

スランドュイルがエルラダンの尻をぺちっと叩いて言いました。「あとでちゃんと面倒をみてやる。よし、今度はお前だ」王がエルロヒアに言いました。

肩越しにエルラダンが見ると、弟はスランドュイルに腰を掴んで後ろ向きにさせられ、ソファに顔を押し付けています。エルラダンの胸に怒りと興奮が同時に湧き上がりました。

「あん、スランドュイル、まずキスぐらいしてくれたっていいじゃないか?」エルロヒアが呻きました。

「やさしくなどしてやらんと言っただろう」スランドュイルが笑って双子の弟に身を寄せました。ひざを使って大きく足を割り開くと、後ろから割れ目に手際よく軟膏を塗りこみます。それから王は大きなうめき声をあげてエルロヒアを貫きました。ほとんど限界まで自身を引き抜くと、また一気に奥まで突き入れます。王の乱暴な動きでソファが壁にあたってかたかたと音を立てました。

エルロヒアが胸の奥から深く喘ぎつづけるのを聞いていると、エルラダンはまた自身が堅くなってきたのを感じました。エロチックな光景でした。汗ばんだスランドュイルの逆三角の背中を早朝の光が踊るように照らしています。レギンスはひざのあたりまでずり落ちて、王が力強くエルロヒアに突き入れるたび、露わになった臀部の筋肉が盛り上がりました。水濡れ、叩きつけるような音は部屋中に響きわたりました。

「お前の尻もなかなかだ、ペレジル」王が言います。「兄のよりはきつくないが熱く柔らかい。これがお前のいつもの体勢だろう、違うか?」エルロヒアの尻に袋を叩きつけるように、スランドュイルは動きをさらに早めます。

「あぁ、こんなに激しくされたら --- ここを去るとき、どうすればいいんだ? ずっと --- 馬で行かなきゃ --- ならない --- っていうのに!」エルロヒアが叫びます。早駆けの馬に乗られるようにスランドュイルが攻め続ける中、律動にあわせてエルロヒアの声が途切れしわがれました。

「どうやって去るかだと? 頭を垂れて打ちしおれた様子でに決まっておる」スランドュイルが笑いました。やがてスランドュイルの表情が歪みました。「あぁ、いいぞ、エルロヒア。もうすぐいくぞ」

「あぁ、いいところに当たってる」エルロヒアは顔をソファに押し付けて声がくぐもっています。「そう、そこ、いい!」スランドュイルの突きに合わせてエルロヒアが大きな声を上げました。

「激しくされるのが好きというのは嘘ではないな。若造め、こうするのが私も好きだ。お前とならいい組合せだな」王の律動がさらに激しくなりました。「お---、ああ!」スランドュイルが頭をのけぞらせて叫びます。「お前の中にいっぱい出してやる!」

エルラダンは王が隙を見せるこの瞬間をずっと待ち構えていました。エルラダンは素早く前に出て手を伸ばし、王の額に両手を押し付けました。「ウトゥリエン(我来たり)、僕たちはつながる。王よ」エルラダンが言います。「僕たちは貴方を感じる」

その瞬間、悦楽の巨大な波が一気に3人を飲み込みました。激流のような王の快感、そして、大きなもので満たされ内奥の一点を突かれているエルロヒアの痛みとすれすれの快感。3人は大きく呻くと、王がエルロヒアの中に放出し、双子たちも共に白濁を迸らせました。

頭をくらくらさせながらもエルラダンは王の胸元に腕をまわし、後ろに引っ張りました。エルロヒアのなかから王のものがずるりと抜け、エルラダンの上に王の体が倒れ込みます。エルロヒアが向き直ってスランドュイルの胸の上に飛び乗りました。エルラダンは身を捻ってスランドュイルの体の下から抜け出ると、王の目の前に足を組んで座りました。

「僕たち2人の意識を感じるでしょう、王よ」エルラダンが勝ち誇ったように言いました。「いま貴方は僕たちのものだ!」

「何をした?」スランドュイルは唸り声をあげて双子を押しのけようとしますが、2人はしっかりと王を押さえてしまいました。王の力強い精神が逃げようともがき、2人の意識をぐいぐいと押しています。

「エルロヒア、手を貸して!」エルラダンが呼びました。双子の弟はエルラダンのレギンスの布を使って、スランドュイルの頭上に両手を拘束します。エルラダンが王に心を落ち着かせる呪文を投射しました。王が静かになるまで2人はスランドュイルの体を押さえこみました。

「それでいい、スランドュイル。さあ、体の力を抜いて、夢の中に沈むんだ」エルラダンが甘く囁きます。

「奇術師め!」スランドュイルが怒りの声を上げました。「すぐに離せ!」

「欲望は私たちの弱点、そう貴方は言ったけれど、貴方も同じ肉欲に身を任せたのですよ」エルラダンが嘲るように言いました。「それに貴方は私たちを見くびってた。王よ、賢明とはいえないな。今や、この性悪で、自然の摂理に反した存在であるペレジルの双子たちは、完全に、貴方を呪文にかけてしまった」

スランドュイルはもう一度逃れようと身を捩じらせました。しかしエルラダンが夢と眠りの心静める呪文を囁くと、王の体はやがて動かなくなりました。王の心は漂い始めました。海のただ中、ゆらゆらと波に揺られながら、王は天を仰いで浮かんでいます。上空のどこかで鴎が一羽、鳴き声をあげました。スランドュイルの悪夢を象るその声に王は身震いしました。彼は絶対にこの中つ国を去るつもりはありませんでした。スランドュイルはずいぶん昔にそのことを誓ったのです。波打ち際に打ち寄せられると、スランドュイルは砂の上に横たわって、流れる雲が太陽の陽射しに金色に縁取られ、空を通り過ぎていくのを見上げていました。ふと気づくと、腿に触れた手がスランドュイルのレギンスを降ろし、柔らかくなった男根を長い指でゆっくりと巧みに愛撫しています。王は呻き声をあげ、抵抗しようと試みました。

「しぃーっ、スランドュイル」エルロヒアの声でした。「降参して、身を預けて。良くしてあげるから。貴方が僕たちにしたよりずっとね」

エルラダンが言います。「彼の中にある僕たちの近親相姦に関する記憶を全部見つけた。これからその記憶を封じる」

「--- どうせまたすぐ私は気づくだろう、エルロンドの息子たちよ」スランドュイルはため息をつきました。「永遠に隠し通せると思ったらおお間違いだ。ああ神よ、エルロヒア、私に何をしてる?」

「気を紛らわそうとしてさしあげてるんですよ、王。それとまた僕に入れられるよう準備をね。貴方の回復は早いな」エルロヒアはスランドュイルの棹を弄びながら唇で優しく王の乳首を吸い始めました。王の快感の高まりを2人もすぐ感じとります。エルロヒアは壷から軟膏を取ると王の棹にたっぷりと塗りつけ、エルラダンが見ている中、王のものを音を立てしごき続けました。

「今後貴方が僕たちのことを考える際には」エルラダンが告げます。「歓びと愛情が常にあなたの胸に満ち溢れる。いま僕たちが貴方にしていることの名残を感じるようになるんだ」

エルラダンは唇を舐めました。彼が見守る中、エルロヒアは王に跨って、すでに堅さを取り戻した棹を手で支えながら、ゆっくりと体を落としています。大きなため息とともにエルロヒアは体内に王の棹を全部取り込みました。スランドュイルは呻きながら腰を突き上げようとしています。エルロヒアは奥まで咥え込んだところでじっと動きを止めました。エルロヒアの熱い内壁に締め付けられた王の昂ぶりを全員が感じました。

エルラダンが笑顔になりました。「エルロヒア、愛しい君、そんなにしたら集中できない」エルラダンが言います。

「君は君の役割を果たして、僕は自分の役割を果たしてるんだ」エルロヒアが低い声でそっと言いました。「レゴラスのこと、忘れないで」

「レゴラスの、なんだと?」王が要求します。

「彼が僕たちと一緒に来るのを許すんだ。それが彼の真の望みでもある」エルラダンが言います。

双子たちは爆発するような王の感情に圧倒されました。「お前ら2人には理解できんだろう。子を持ったことのないお前らにはな。長い人生のあいだ、私は愛する友や戦友を、幾たびも、終わりない戦いに失った。妻としたものはこの世界を去り、今は私一人だ。私の哀しみは深い。もし我が息子たちどちらかにでも何かあれば、私はその哀しみで、もう生き続けることはかなうまい」

エルラダンが優しく言いました。「理解できますよ、王。けれど、もうお分かりでしょう。成長するためにはリスクをとらなくてはならない。閉じ込められたままではレゴラスは丈夫に育ちません。弟と僕は彼の心に少し触れましたが、素晴らしい子です。強く、勇気があり、生き生きとしている。中つ国は彼の腕を必要とするでしょう。もし好きなように成長させてやることができれば、あの子は貴方が誇れる息子になりますよ」エルラダンはもう一度王に心を静める波を送りました。

スランドュイルがため息をつきます。「お前が正しいのかもしれんな。いつかは避けて通れなくなることを、私は見ないようにしていたのかもしれん。だがこの竜の棲家への探検にレゴラスを送るのは反対だ」

エルロヒアが口を開きました。「王よ、レゴラスに危険が及ばぬことは我々が命を賭けてお約束いたします。心からそう申し上げていること、僕たちの彼への愛情がお分かりになるでしょう?」温かい光のようなものが3人の間を脈打って流れました。

「その件については検討する」スランドュイルはそう言うと呻きました。「エルロヒア、ああ死にそうだ!いいから動け!」

エルロヒアの笑いが3人の心をさざめかせると、彼はゆっくりと腰を上下させはじめました。やがて彼の動きは段々と早まります。

「ああ神よ、お前はすごい」スランドュイルは自身が急速に追い上げられるのを感じました。高まる熱のなか、彼はエルラダンの次の言葉が頭に響くのを感じました。

スランドュイル王よ、僕たちが去ったら貴方はすぐに深い眠りに落ちるだろう。目が覚めたとき、貴方はナインとの会議に出るよう僕たちに告げたこと以外は、僕らの部屋での今朝のできごとを覚えていない。ドワーフと会議して、その後、僕たちとレゴラスのことについて話をしたのは覚えている。貴方は闇の森とイムラドリスの同盟に肯定的に感じた、従ってレゴラスが森を出て、世の中を経験するのもいい頃合いだと考える。エルロンドの息子たちがレゴラスを守って一緒に行くというので貴方は安心した。会議の後、貴方は疲労を感じ、そのままソファで横になった。

「ああ」スランドュイルがつぶやきます。王はエルラダンの言葉に耳を傾けていませんでした。脚の間に昂ぶりをくわえ込んだエルロヒアがスランドュイルの上で体を上下させ、スランドュイルを極みに登らせます。体を投げ出してこの双子の弟に動きを任せるのは素晴らしい感覚でした。絶頂の際まで追い上げられ、スランドュイルは期待にうめき声を上げました。

突然摩擦が止み、王は失望に声を上げました。「止めるな!」

「お別れに贈り物を」エルロヒアが楽しそうに言いました。「僕たちを乱暴に扱ったお返しですよ。目が覚めたとき、貴方はまた昂ぶりだす。貴方のこの熱を治める方法はただひとつ、それはあの、ナインとの口づけだ」

「呪われたペレジルどもめ!」スランドュイルが呻きました。「あのドワーフにキスするなんぞ、絶対に嫌だ! いいからもう終わらせろ!」

「ああ神よ! エルロヒア、そう、もう焦らさないで早くいかせてくれ!」エルラダンが叫びます。

答えの代わりにエルロヒアがまた腰を動かし始めると、エルロヒアの下でスランドュイルがのたうちました。双子の息が荒くなりました。

エルラダンは瞼を閉じ、王の解放が目前に迫るのを感じて身を震わせました。スランドュイルが突然大きな声を上げて達すると、激しく強い王の快感に打たれた双子たちは危うくその場で倒れそうになりました。エルラダンの耳には、エルロヒアの深いため息と、次に自分の安堵の声が聞こえます。

スランドュイルは大きなため息をひとつついて、すぐさま深い眠りへと落ちていきました。

ゆっくりと、濃い霧をかきわけるようにして、つながった心のなかから双子たちは抜け出しました。裸で満足しきった様子の王の寝顔を、2人はしゃがみこんでしばし見つめていました。ばらばらになったエルラダンの服は部屋のあちこちに散らばっています。スランドュイルはレギンスを腿まで下げた状態で、大きく床に横たわり、顔には笑みさえ浮かべていました。

「疲れさせちゃったみたいだね」エルロヒアがにっこりとします。手を伸ばすとやおら柔らかくなった王の棹に手で触れました。「ああ神さま、彼って、すごいね」

「まったくだ。彼の仕打ちはしばらくこの体がひしひしと感じるだろうよ」エルラダンは背中をソファの脚元に預けて目を閉じました。突然彼はくすくすと笑い始めました。「いったい全体、なんであのドワーフを彼とキスさせようって思ったんだ?」

「ちょっとした仕返しだよ、彼には色々させられる羽目になったからね」エルロヒアもにやにやしています。「おまけに部屋じゃあんな風に急所を掴まれたんだ。それに …… わからないぞ、ナインとの関係改善に一役買えたりして」エルロヒアがウインクすると2人は楽しげに笑いました。

「さあ、服を着せてソファに寝かせとこう」エルラダンが言います。「それから部屋に戻って体を洗おう。何か着る物を探さないと。スランドュイルのおかげでもう着れなくなっちゃったからね」

エルロヒアがにっこりすると兄の手を取り、手のひらに口付けました。「それからあの年下の王子に伝言を届けなきゃ。きっと喜んでくれる、そう思わない?」

「我が弟ながらほんとにとどまるところを知らないな」エルラダンが笑います。「君を愛してるよ。さ、行くか」






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